ローレルツアー2019 ⑦ (1歳 5〜7)
先日自分が参加してきた2019年ローレルクラブ募集馬視察ツアーのレポートをお届けします🐴
今回は1歳募集馬編の続きです٩( ᐛ )و
※関係者コメントについては、当日急いで書き残したメモを元に編集した内容であり、正確なものではないことを予めご了承ください
※また、これから書いていく募集馬に対しての評価は、あくまで僕個人(←ド素人)の感想にすぎませんので、参考程度にお読みください
募集馬名
05 キャタラクト18
性別 牝 毛色 栗毛
2018年4月24日生まれ総額 1,500万円
総口数 200口 一口 75,000円生産者 松浦牧場
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
関係者コメント
「バネがあり、動きがいい。牧田厩舎とは未勝利馬ゼロという相性の良さもある。」
調教師コメント
「やわらかくバネのある動き。やや奥手な感じもする。息の長い活躍を。」
AMANISTA的配合分析
ローレルクラブ所属としてJRA4勝のペルルノワールや準オープン特別を勝ったミヤジエルビス(いずれもブライアンズタイム産駒)の半妹で、上記2頭はいずれも全てダートでの勝ち鞍でした
本馬の姉のフェアリーバニヤンはコリアカップを連覇したロンドンタウンを産んでいます
父オルフェーヴルはノーザンテースト 4×3のクロスを持つので、Northern Dancerのクロスを持たない母キャタラクトとは合うはず
本馬はNorthern Dancer 6•5×4のクロスとなっていますが、キーとなるLady Angela、Native Dancer、Almahmoudの3頭をNorthern Dancer自身を経由しない系統からも取り込めており、Northern Dancerを理想的な形で継続していることがまず素晴らしい
血統表の3/4がNorthern Dancerで、残り1/4が完全な非Northern Dancerとなっているメリハリも好感⤴︎
その1/4である母母Queen TuttaはRoberto、Princequillo、In Reality、Raise a Native、Gold Diggerという重要な血脈を多数内包しているのですが、とりわけ注目したいのはMr. Prospectorの母として有名なGold Diggerから直に連なる牝系ということ
母母母母Gold MineはMr. Prospectorの全妹ですから、血統的価値も非常に高いですね✨
ところで、望田潤さんメイニアの皆さまにはおなじみの『砂黄金トライアングル配合』といえば、Mr.ProspectorとRobertoとNureyevを通じるNashua≒Nantallahの継続クロス
本馬はQueen TuttaがGold Digger≒Bramaleaのニアリークロス(Nashua × Bull Dog × Blue Larkspur)を持ち、エレクトロアートがNantallahを内包しているのでNashua≒Nantallah (Nasrullah × Sir Gallahad × Flambette)のニアリー継続となっているのです
このようにこれまで幾多の砂の鬼を生み出してきた『砂の黄金トライアングル』を持つ本馬は、近親にもダートの強豪が多くいる血統背景どおりにダート戦線での活躍が期待できます🐴
実馬を見た感想
展示中は立ち上がったりチャカチャカしたりと、なかなかのオテンバ娘でした(・∀・)
このあたりはオルフェっ仔らしさが徐々に顔を覗かせているのかもしれないです笑
ただ元々この仔は周囲の変化に動じないドッシリとしたタイプだそうで、展示の時に見せたピリピリした感じも競馬では前向きさとなってイイ方向に働いてくれればいいですね!
放牧シーン公開時には重心の低いキレイなフットワークを見せてくれていました✨
募集馬名
06 ファインスカイ18
性別 牝 毛色 鹿毛
2018年3月15日生まれ総額 1,200万円
総口数 200口 一口 60,000円生産者 協和牧場
血統情報:5代血統表|_________|JBISサーチ(JBIS-Search)
関係者コメント
「右後肢の関節炎で現在は治療中だか、競走能力には無関係の軽いもの。母はJRA 3勝と能力が高かった。お母さんくらいは走ってほしい。」
調教師コメント
「すごく楽しみにしている。」
AMANISTA的配合分析
クラブのパートナー牧場さんの一つ、グランデファームの衣斐代表が配合を提案されたというワイドファラオは芝ダート両方で重賞を勝った稀有な存在🐴
そのワイドファラオとは父と母父が同じという3/4 同血の関係です
タキオン牝馬にヘニーヒューズやヨハネスブルクなどヘネシー系の種牡馬をつけると、Bold Ruler 6×6、War Relic≒Eight Thirty 7•5・6 × 9、Hawaii≒リマンド 4×5といった様々な種類のクロスが発生します
Bold Rulerはスピードと機動力を、War Relic≒Eight ThirtyはMan o'War的パワーを、Hawaii≒リマンドは南アフリカの異系血脈として活力を増す効果が期待されますね
さらに本馬はそれだけでなく、父系のSecretariatと母系のHomespunがナスキロ(Nasrullah × Princequillo)なので柔らかさ・しなやかさといった面にもアプローチしています
そして極めつけはFirst Rose≒Tom Fool≒Flaring Top 7•6 ×7•6•6•6のトリプルニアリークロス✨ (Menow、Bull Dog=Sir Gallahadなどが共通)
オールラウンドで自在性や機動力に富んだスピードが持ち味のTom Foolは現代競馬において最重要とも言える有能な血脈ですから、それらを数多くのニアリーイコールで結んでいる本馬の配合には競馬センスの非常に良い馬に育つ可能性を大いに感じます🐴
実馬を見た感想
関節炎の影響であまり動かすことはできないので、厩舎入口付近での展示となりました
ただ、時間的にちょうど逆光となってしまったため、全然まともな写真が撮れてない(^-^;
お母さんはクラブ馬でしたし、ファインスカイの初仔ということで思い入れのある会員さんも多いと思います✨
ヘニーヒューズは自身によく似た仔を出すイメージが強いですが、この仔は母系からも遺伝要素を引き出した馬体をしていた印象でした!
配合的にも楽しみですし、今年のNZTやユニコーンSの結果には協和牧場さんも思わずニンマリしたんじゃないですかね笑
女版ワイドファラオとして芝ダート問わない活躍を期待しています
募集馬名
07 ダーティダンシング18
性別 牡 毛色 黒鹿毛
2018年3月18日生まれ総額 1,200万円
総口数 200口 一口 60,000円提供者 グランデファーム
https://www.jbis.or.jp/horse/0001263730/pedigree/
関係者コメント
「鞍付けも順調にやっている。柔らかいし、動きがいい。牝系も良く、ダマスカスの血を活かした配合は大物が出る。昆先生もお気に入り。」
調教師コメント
「芝ダート距離を問わなそう。出世できる。」
AMANISTA的配合分析
グランデファームの衣斐浩代表は大変深い血統知識をお持ちの方でして、様々な媒体でご自身の配合理論を解説くださっているので、衣斐さんのお名前をご存知の方も多いのではないでしょうか?
ヴァリアントジョイの時と同様にダーティダンシング18の配合に関しても、今後どこかのタイミングで代表自ら詳しい配合解説をしてくださると思うのですが、本馬は衣斐さんが提唱する『チャンピオン配合』にピタリと符号する好配合馬とのこと⤴︎
なので、チャンピオン配合理論を勉強させていただいた上で自分なりに解釈したことを書いてみたいと思います(・∀・)
まずNorthern Dancerクロスのうるさい父バリアシオンを緩和する意味でも直接のクロスをもたない母ダーティダンシングとは良い組み合わせになるはずで、自身はNorthern Dancer 4•6•6×5、Damascus 4×5、Hail to Reason 5×5のクロス
本馬はこのように衣斐さんのチャンピオン配合に欠かせない三大血脈のうちの一つNorthern Dancerを多重クロスしてるわけですが、Northern Dancerを構築する3つの重要な血(Lady Angela、Native Dancer、Almahmoud)のうち、Lady Angelaを除く2つの血をNorthern Dancerを通さない形で内包しています
これによりNorthern Dancerクロスが『継続』されており、これがチャンピオン配合の条件その①です
これに付随して、本馬の場合は父系に入るLyphardやDancing Countと母系に入るDanzigが同じ「Northern Dancer + Fair Trial〜Son-in-Law」の組み合わせで、非常に似た構成のNorthern Dancer直仔を5•5×4で掛け合わせています
実はこれらの血が父系のLovely Morningや母系のFlower Bowl (His Majestyの母)とも密接にリンクしていたりします
Lyphard / Dancing Count / Danzig
→「Northern Dancer (Hyperion × Tracery × Mahmoud) + Son-in-Law」
Lovely Morning
→「Swaps (Hyperion × Son-in-Law) + Misty Morn (Tracery × Mahmoud)」
Flower Bowl
→「Alibhai (Hyperion × Tracery) + Flower Bed (Son-in-Law × Mahmoud)」
このように上記5頭はみんな「Hyperion × Tracery × Son-in-Law × Mahmoud」という共通する重要な血脈から成り立っています
近年DanzigのクロスとHis Majesty=Graustarkを併せ持った一流馬が増加していることからみても(モズカッチャンやクリンチャーなど)、このあたりの脈略には非常に大きな意味があると考えられます
そしてもう一つ見逃せないのが、衣斐さんがハイクオリティ・アメリカ血統(HQアメリカン血統)と呼ぶ影響力の大きな異系の血が複雑に脈絡していることで、これがチャンピオン配合の条件その②になりますね
以下にいくつか代表的な例をあげます↓
Damascus 4×4 …強烈なパワーとスピードを兼備した血で、Damascusに入るSpeed Boat (War Relicの全姉)は母系に入るWar RelicやEight Thirtyと脈絡する(Friar Rock、Commando、Man o' Warが共通)
My Bupersの増幅 …ハーツクライの3代母My Bupersは父方がDouble Jay × Busanda (Balladier≒Blue Larkspur × Man o'War × La Troienne)、母方がRevoked (Blue Larkspur×Sir Gallahad)というHQアメリカン血統の塊です
まず父バリアシオンがDouble Jay 6×7を内包していて、本馬の代ではBupersとBuckpasserの兄弟を通じるBusanda 7×7
RevokedはHail to Reasonの母Nothirdchanceとニアリーなので(Blue Larkspur、High Time、Sir Gallahadが共通)、本馬の代ではNothirdchance≒Revoked 6•7•9×6
更にこれ以外の別ラインからもLa TroienneやBlue LarkspurなどMy Bupersの抱える主要な血を幾重にも取り込んでいます
Promised Landの強化 …父バリアシオンの斬れ味の源の一つがサンデーサイレンスの母父父Promised Land 5×6のクロス
Promised Landの母MahmoudessはMumtaz MahalとTetratemaを通じるThe Tetrarch 4×4で、柔らかさと類稀なスピードを兼ね備えた有能な血として知られるThe Tetrarchを強力に伝えています
本馬はNasrullah≒Royal ChargerやCaro、MahmoudなどのThe Tetrarch血脈を豊富に抱え、父の持つPromised Landクロスを間接的に補強
以上のことからダーティダンシング18の配合についてまとめると…
・Northern Dancerの再現性を高めた上で中〜長距離向きな無尽蔵のスタミナと粘り強さを強調していて、これらは牡馬に発現しやすい資質でもあることから本馬にとっては大きな追い風となりそう
・なおかつ異系のHQアメリカン血統を豊富に取り入れ、それをスピードやパワーの担保としている
・異系の血は活力を増す意味でも有効に作用するはずで、これらの仕掛けが高い次元で融合すればクラシックディスタンスを主戦場として息の長い活躍が期待できそう
実馬を見た感想
右鼻にかかる独特の流星が特徴です( ´_ゝ`)
馬体はパッと見た感じ古馬みたいに肉付きがよくて、ドッシリとした重量感を感じました
歩きを見ても、脚の運びなどに特に変なクセもなく、しっかり歩けていた印象
衣斐さんも自信がおありのようで、帰り際に配合について個人的に質問させていただいた際に「スピードもありますよ」と仰っていましたよ⤴︎
なんか、走ってるとこ見たいなーと思いました!
この馬体から間違いなく迫力ある走りをしてくれそうですが、あとはスピードの絶対値がどれくらいあるか…焦点はそこですね
今日のところはここまで(´ω`)
1歳馬編は以上になります!!
あ、配合分析については勘違いや間違いがあってはいけないので、いちお自分なりに何度も何度も血統表と睨めっこしながら書いてはいます
それでも何かしら抜けはあると思うので、ご覧になってもし何か「ここ変じゃない?」ってとことか「本文で触れてないけど、◯◯のクロスも効いてるよ!」とかがあればコメント欄で教えてください(ノД`)
おまけ的なプチコーナーにするつもりだった配合分析が思いのほかすごーーく長い文になってしまってるんで、もう少しどうにかならないかと試行錯誤はしてるんですが…(^-^;
文章の省略の仕方によっては、ただでさえマニアックな内容がもっともっと分かりづらい内容になってしまうので、多少長くなるの覚悟で補足説明をできる限り付けながら書いてます(←多少どころじゃないけどな笑)
配合って難しくてマニアックな分野なのに、MJさん(望田さん)はユーモアを織り交ぜながら極力シンプルに文章を書かれていて、自分もこうして配合分析とかやってみるとそれがいかにすごいかってこと改めて実感します…!!
MJさんはその道のプロなので、素人の自分が同じステージ的な目線で語るのはおこがましいことこの上ないですが、MJさんに対する尊敬の念がますます強くなりました(・∀・)
これで残すは2歳馬と現役馬だけになりましたね🐴
やっと終わりが見えてきた(´ー`)/
ちなみに配合分析シリーズは当歳馬と1歳馬で終わりにします…!!
需要もあるかわからないし、自分で勝手に始めといてアレですけど、配合分析ちょっと大変すぎるので笑
難しいこと書くよりも、馬たちのかわいい写真とかもっと載っけてキャッキャしたい!!!!(←いい歳したおっさんの発言ではない)
それではまた!
me ke aloha pumehana
※このブログではローレルクラブならびにシルクホースクラブのホームページ掲載情報から転載許可をいただき記事にしています
また、ノルマンディーオーナーズクラブについてはクラブに事前連絡を行いホームページ掲載情報を一部引用させていただいております
※2019年3月27日以前の過去記事については、お手数ではございますが旧ブログリンクからご覧ください
旧ブログ(ココログ) → sting like bee